両側股関節脱臼の症例
こんにちは。
今日はわんちゃんの後肢の疾患で多い股関節脱臼の症例をご紹介します。
1歳、トイ・プードルのゆあちゃん。以前から散歩を嫌がり、時折、足を痛がるように歩く(普通に歩くことも可能)とのことでご来院されました。
また、座る際に足を側方に投げ出すような様子もあるとのことでした。
身体検査にて股関節付近を痛がる素振りをしたため、直ぐにレントゲン撮影を行ったところ両側の股関節が外れている(脱臼している)ことが判明。
骨同士が擦れ合い、そこで炎症を伴うため痛みもかなり強いことが予想できます。。。ゆあちゃんが散歩に行きたがらない理由でした。
飼主様の御協力もあり、即手術の流れとなりました。まずは痛みが強い右側の股関節からの手術です(写真左)。
手術は大腿骨頭切除術を実施しました。
術後は順調に経過し、傷口も綺麗で、3日目には右足を着地できるまで回復。痛みに耐えながらも治療を協力的にうけてくれるゆあちゃんには脱帽です。(笑)
ゆあちゃんは、おそらく長い期間、関節が十分に機能していなかったことにより、両後肢のふとももの筋肉が落ちていました。
今後はゆっくりと筋肉をつけていき、関節をカバーしながら、ほぼ通常通りに歩けるようになっていくことが予想されます。
約半年の期間を設けて、反対側の股関節を同様に治療していきます。
このように、わんちゃんは、明らかな骨の異常が存在していても、痛みを隠す習性か、普通に歩く子もいます。
痛いと言えないからこそ、何か少しでもおかしいと感じましたら、すぐにご来院を。
獣医師 熊谷